2023年度北海道自然史研究会・研究大会に参戦!
2023年度北海道自然史研究会・研究大会に参加してきました!
北海道自然史研究会は、自然史系学芸員を中心に道内の自然史に関するネットワークづくりを目的とした任意団体です。道内の自然史研究や普及事業、展示事業、自然保護活動に関する意見・情報交換をしています。
当会では年1回研究大会を開催しています。道内における自然史関連の調査研究成果の紹介、博物館等施設の取組や展示制作、教材開発等について発表・共有する場です。2023年度大会は2024年2月18日に北海道大学総合博物館にて開催され、当館担当も聴講・発表してきました。現地参加・オンライン参加合わせて100名ほどの方が参加されました。
当館担当の永末は表題「本別町における自然史研究の課題と展望 −資料館活動から視えたコト−」として、本別町あるいは資料館が抱える自然史記録の現状と今後の資料館活動の展開について報告しました。
発表では、地域の自然史関連の資料および記録が少ない現状を収蔵資料と先行研究から紹介し、記録のない分類群の調査記録の集積、現況調査による既存記録の更新が喫緊の課題であると示しました。地域における野生生物の基礎情報の集積と文書的な記録媒体の整備を進めていく必要がありますね。
また、地域住民の個人活動(例:遊歩道散策)や今後の教育活動、資料館活動に「観察したものを記録する」という作業要素を付加し、記録したものを当館に提供してもらうことで、地域住民から地域の野生生物に関する基礎情報を集めることができるのではないかと考え、地域住民と協働した資料館活動の展開を今後の展望として示しました。簡易的な調査方法や記録の取り方をみなさんに伝授できれば・・・。
当館では2024年4月から資料館主催の新規事業「ほんべつ自然観察会」「ネイチャーゲームで自然体験」を開催する予定です(近日、情報公開!)。地域住民と協働した資料館活動の展開に向けた基盤づくり。まずは、地域の自然に親しみをもってもらうことから始めていきます。色々と模索しながら資料館活動を進めていきますので、今後とも当館の動向をチェックしていてください!
研究大会の様子(写真)
研究事例発表(一覧)
北海道における2023年のクマイザサの一斉開花・・・明石信廣(北海道立総合研究機構)
豊平川の野生サケは存続可能?今後の課題とSWSPの役割・・・有賀望(札幌市豊平川さけ科学館/札幌ワイルドサーモンプロジェクト)
野生動物医学研究・教育拠点閉鎖による自然史試料・標本のその後・・・浅川満彦(酪農学園大学)
石狩市望来海岸で発見されたウマの歯・・・志賀健司(いしかり砂丘の風資料館)
陸産貝類における特殊な移動性と活動性の進化・・・植木玲一(札幌啓成高校/現有朋高校)、札幌啓成高校科学部フィールド班、森井悠太(京都大学)
北海道におけるツバメコノシロ科の初記録・・・杉目良平、笹森健太、渋谷祐和(株式会社エコテック)
Revision of the histerid beetle Atholus Thomson, 1859 (Coleoptera, Histeridae, Histerinae) in the Oriental Region and their distribution in the Indo-Australian Archipelago (IAA)・・・Ian dela Cruz (Hokkaido University Museum)
エンマムシからみる北海道河原環境調査の現状・・・菊池那樹(北海道大学農学院)
エゾシカトロフィーを新築の家へ贈る風習は存在したのか?・・・持田誠(浦幌町立博物館)
北海道内博物館合同展示「推し花の押し花〜牧野富太郎と植物標本」の報告・・・加藤ゆき恵(釧路市立博物館)、首藤光太郎(北海道大学総合博物館)、城坂(平林)結実(美幌博物館)、水島未記(北海道博物館)、持田誠(浦幌町立博物館)、山崎真実(札幌市博物館活動センター)
本別町における自然史研究の課題と展望−資料館活動から視えたコト−・・・永末透威(本別町歴史民俗資料館)
博物館を生物多様性保全の拠点とするために・・・宇仁義和(東京農業大学オホーツクキャンパス)
*古沢仁前会長を追悼して
古沢学鯨員の日常・・・山崎真実(札幌市博物館活動センター)
札幌市の展示から始まった封入標本の世界・・・渡辺修、渡辺展之(さっぽろ自然調査館)