地域の色で染めていく。nosome(ノーサム)と尾崎さんの究極のエコサイクル。

こんにちは。HOTほんべつリポーターの藤井です。

今回は、本別町で「おやきやTOTTE」を経営する尾崎将寛さんらが立ち上げた”地域の仕事とつながる”をコンセプトにしたアパレルブランド「nosome(ノーサム)」の紹介をさせていただきます。

私が訪れたのは、北海道・十勝の帯広市にある”地域とつながる”をコンセプトにした「nosome(ノーサム)」の工房です。――もと飲食店だったというその場所は、懐かしくとてもなじみのあるような空気が混ざった空間でした。ドアをくぐると、すでに染め上げられた洋服や染色のための布たちが並び、控えめながらも強い存在感を放っていました。

(写真)nosomeの工房の中で並ぶ洋服たち

 

扉越しに出迎えてくれたのは、共同代表の尾崎 将寛さんと円城寺 篤さん。お二人は、ともに1986年生まれで、友人同士として共にこのブランドを立ち上げたそう。帯広や更別で育ち、札幌での仕事を経て十勝に“Uターン”。そんなバックグラウンドも、nosomeというブランドに込められた「地域とのつながり」という思いを強く感じさせました。

(写真)尾崎さん(右)と共同代表の円城寺さん(左)

 

――そもそも「nosome」という名の由来について、 尾崎さんはこう語ってくれました。「十勝平野の“野”、野遊びの“野”―地域にある色で“染める”というコンセプトをローマ字で形にしたものです」と。

この言葉には、「地域の資源を再認識し、新たな価値を提案する」という想いが込められているということ。

その言葉通り、nosomeのはじめの作品は“ゴミ”ではなく、本別町で収穫後に廃棄される玉ねぎの外皮でした。飲食店がコロナ禍で先行きに不安を抱える中、「何か新しいことを――」と模索した結果、“地元で捨てられていたものを使う”という発想にたどり着いたそうです。

そして、同じく地元の阿寒湖温泉の温泉宿を営む円城寺さんの温泉のお湯を使い、もともとアイヌの人たちが伝承してきた染色の技法を用いる「染めもの」だそうです。ここにも「地域とつながる」という想いが込められています。

(写真)地元本別町で捨てられる予定だったたまねぎの皮を用いて染める

 

工房の中では、玉ねぎの外皮で染色されたシャツやパーカー、ストールなどが棚に整然と並べられ、その色合いはどれも柔らかく、温かみがありました。

服の生地には耐久性を重視したものを使用しており、「一度買ってもらった服を、色落ちしたら再染色することで、長く着続けてもらいたい」とのこと。

さらに、第二弾として、ワイナリーで使われた後のブドウを染料にした洋服も制作しているということ。玉ねぎの外皮だけでなく、「廃棄されるもの」「捨てられるもの」に新たな命を吹き込む―その姿勢は、単なる“エコ”や“リサイクル”を超えた、クリエイティブなリサイクルでした。

nosomeを買い求める顧客の層は、当初尾崎さんらが想定していた若年層だけではなく、「北海道らしいものが欲しい」「ストーリーのある服を着たい」と感じる、幅広い世代の人々だと、その反応に、尾崎さんは「思っていた以上の手応えだ」という。

 

とはいえ、nosomeが目指すところは、ただの“流行の服”ではありません。「地域の色を楽しむ」をあくまでアップデートし、「仕事とつながる服」というコンセプトを貫いています。染色の文化は、昔からその土地に根ざしたローカルカラーがある―そう語る尾崎さんにとって、nosomeは“衣服を通じた地域の再発見”なのです。

実際、尾崎さんたちは今後、もっと大きな展開を見据えています。「nosomeをきっかけに、帯広から本別を経て阿寒湖まで――“服を着て旅する”ような北海道の周遊が生まれたらいい」と、尾崎さん。服が、旅の入り口になり、地域を感じるきっかけになる―そんな未来を描いているようでした。

この工房を後にする時、私はふと「十勝の風景や歴史を、身につける」という感覚を抱きました。廃棄されるもの――それは一見“無価値”に見えるかもしれないけれど、nosomeの手にかかれば、“地域の色”や“記憶”を宿した、新しい服に生まれ変わる。そんなサイクルを見た思いがしました。

「ただ流行を追うのではなく、地域の資源を見つめ直し、新しい価値を提案する」。nosomeというブランドには、そんな確かな兆しが見えました。十勝のそして本別には、こんな素敵な取り組みをする人に出会うことができます。

nosomeが紡ぎ出す「服の物語」に共感する人は、ぜひ手に取ってみてほしいと思います。

取材日:2023年9月

 

尾崎将寛さんのインタビュー動画はこちらからもどうぞ。

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