プライベートとともに生きる

會田祥之さん

プライベート重視のキャリアチェンジで、自分にぴったりな町を見つけることができた、グランドホテル・會田さんの移住物語。

本別温泉グランドホテルで働く會田さんは、過去に仕事ばかりの日々を送って、大切なものを失った経験があるといいます。プライベートを大切にしながら働きたいと選んだ場所が本別(ほんべつ)町でした。プライベートを楽しみながら、新しい業界にチャレンジしている會田さんの田舎暮らしの本音を伺いました。

會田祥之(あいだ・さちゆき)

1979年室蘭生まれ、札幌育ち。幼少期から育ち、社会人としてスタートを切った札幌を離れ、2016年に本別町へ移住。現在は、本別温泉グランドホテルで接客業務を中心に担当。

 

大切なものを失ってから働き方を考えるようになった

-ほんべつ(本別)にはいつ頃移住されたのでしょうか?

 

會田さん(以下、會田): 札幌からほんべつに移住して3年目になりました。なんとなく田舎で暮らしたいと考えて働く先を探しているときに、ほんべつが地元の方と知り合って、1年くらいかけて仕事を見つけて移住することができました。ほんべつのことは移住する5年ぐらい前から知っていて、過去にはきらめきフェスティバルの時期に遊びにもきたこともありました。

 

-なんで田舎で暮らしたいと考えたのですか?

 

會田: それまで仕事しかしていなかったので、プライベートを充実させたかったのと、少しゆっくりした時間を過ごしたいなと。前職は販売業で、やった分だけお給料は貰えたのですが、そこに集中し過ぎて、丸1日、翌朝まで働くこともありました。

それで失ってはいけないものを失ってしまっている気がして。それがきっかけで働き方を考えるようになりました。

移住してから最初の1年目は、色んな飲食店や近隣の温泉を何十箇所とまわりました。自分の気持ちのリフレッシュにもなるし、温泉施設は今の仕事をする上でも勉強になるので、休みの日をうまく使っていました。新しい場所を探す楽しみもありましたね。

 

 

本別温泉グランドホテルでの受付の様子

 

-生まれは札幌ですか。どんな幼少期でしたか?

 

會田: 室蘭で生まれて、6歳ごろから30年間札幌に住んでいました。体育会系で中学まではサッカー、高校からはバトミントンをやっていました。

 

-北海道出身なら、ほんべつの寒さはや不便さは気にならなかったですか?

 

會田: さすがに寒いと思いましたね(笑)。徐々に慣れましたけど、水道が凍ったときはびっくりしました。

 

不便さは感じた事がありません。近くに運動場があってスケボーサイズの小さいセグウェイに乗って遊んだり、一人で入りやすい店も多いので一人呑みもします。

 

釧路や帯広、北見にも1時間ぐらいでいけるので買い物もそんなに不便ではない。その先に足を伸ばす事も出来ますし。

 

-移住の住まい探しはどうされたんですか?

 

會田: 最初は賃貸で探したんですけど、僕の場合はホテルの社宅があったのでそこを案内してもらいました。

愛犬とともにリラックス

 

新しい土地で新しい業界へのチャレンジ

 

-グランドホテルではグランピングやテラスなど新しいことにも取り組まれている印象ですが、今はどんな感じですか?

 

會田: グランピングは、支配人の企画で取り組んできたものですが、とても好評です。僕は接客が主な役割で販売の仕事を通じてさまざまな経験をしていますし、新しい業界でしたが自分には合っていると思います。

ホテルではエミューを飼育しています。最初は社長の趣味から始まったものですが、お世話をしているとどんどん愛着がわいてきます。グランピングやエミューの触れ合いを通して、単にホテルでの接客ともちがう、人と接する楽しさがあります。

 

-夏場は(本別公園の)キャンプ場はすごい人ですけど、あの方々は食事はどうしてるんですか?

 

會田: キャンプ場でBBQをして、当ホテルにはお風呂に入りに20時過ぎの遅い時間帯に来られます。キャンプ場のお客さんの送迎の需要もあるとは思うんですけど、人員が整えば色々取り組みたいと考えています。

 

-今ホテルで働くスタッフは募集しているのでしょうか?

 

會田: スタッフは大募集しています。遠方からの方でも、住み込みで働くことができます。僕の考えですけど、ここで働くメリットは、”やりたい事が出来ること”と”自分の時間が充実すること”ですね。車は必要ですけど、登山にアウトドア、外あそびがいくらでもできますね。

 

他にもホテルで飼っているエミューの世話ができるとか、自由な時間もそれなりに多い分、いろんなことにチャレンジすることもできるのではないかと思います。

 

-正社員の働き方もあるし、プライベート重視で最低限の生活費を稼ぐ人もいるでしょうね。本業がほかにある人が、観光業を勉強してやりたいことにチャレンジする可能性もありますね。

同僚の畠山さんとのチームワークは抜群

 

新しい土地だから、お気に入りの場所を探すことを楽しむことができる

 

ほんべつのおもしろい探検スポットやおススメのイベントはありますか?

 

會田: ほんべつ町内のイベントだけではなく、ここから行けるところを探せば色々やっていますよ。去年行ってみて良かったのは、陸別の花火大会。火の粉がかかりそうなぐらい花火が近くて、すごい迫力でした。近隣の町村を含めるとたくさんイベントがあるので、それらをひとつひとつ探すのも楽しみの1つですね。田舎でもいくらでも遊びの選択肢がありますよ。

 

-會田さんから見た”ほんべつ”はどんな町ですか?

 

會田: ありきたりですけど、住みよくて「自分にはぴったりな町」です。仕事を抜きにしても自分の生活スタイルや趣味に合うし、自分のしたい事を“探す”という楽しみもあります。

 

おばあちゃんが住んでいた、日高三石(※苫小牧の南東に位置するまち)に久しぶりに行ってみたんですけど、あんなに何もないと生活するにはきついなかなと思いました。ほんべつは寂れてる部分と活性してる部分があるけど、わざわざ帯広や釧路まで行かないといけないわけではないですから。どちらかと言うと趣味に時間を使いたいので、そこそこ充実しているこの町がぴったりです。

 

-「ぴったりの町」に出会えるって幸せですね。町の人はどうですか?

 

會田: 人口7,000人くらいの規模の町なのですが、おもしろい人がいっぱいですね。みなさんフランクで、移住してきた自分のことを受け入れてくれますね。

 

-今後考えていることはありますか。

 

會田: 将来は飲食をやりたいというビジョンを描いています。どんどんシャッター街になるところもある一方で、ここ何年かで新規オープンして地域のお客さんを集めているお店もあります。僕もその流れに乗っかりたいなと。

 

ものづくりや、料理やお酒も好きなので、夜の飲食とか自分の趣味をいかせる仕事がしたいですね。今はホテルでもう少し経験を積もうと思っていますが。

 

-ホテルのテラスを使ったビアガーデンに期待しています(笑)。今回はゆっくりお話を伺うことができてありがとうございました。

プライベートでは好きなアウトドアを満喫

 

 

インタビュアー
地域包括ケア研究所 藤井 雅巳

抽象的に捉えられがちな「地域包括ケアシステム」を、実践を通して具現化するシンクタンク「地域包括ケア研究所」の代表理事。2017年より本別町に頻繁に足を運び、町の魅力として、「人」にフォーカスするWebメディア「HOTほんべつ」を企画。

地域との“つながり”を感じる町
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